さかのぼること15年前のある日・・・
私はミツバチという存在に関心を持った。
まずは自己紹介をさせてください。
私の名前は青柳秀明。今年で70を迎えます。
福岡市でビンテージカーショップを営む元レース屋です。
若い頃は日産の古い車(当時は古くなかったw)B110サニーやB310サニー
で西日本サーキットを始め 筑波サーキット、鈴鹿サーキット、富士スピードウェイ
で開催されていたマイナーツーリングカーレースで活躍させていただいていました。
自慢話になりますが・・かのタイヤメーカーADVANのドライバーに抜擢された時期もあります!
当時はレース、レース、レースの日々、人生をかけていました。
仕事も自分たちの営むチューニングショップで毎日油、鉄粉まみれ。
触れる物は無機質な物ばかり、自然とは無縁の日々でした。
そんな私も50歳を過ぎた頃から不思議と”自然の物”が恋しくなり始めているのに気が付きました。
きっと幼い頃、何もない時代でまだアスファルトの道路がない自然が隣にあった生活が
年を重ねて恋しくなったのでしょう。
そのころから住まいも市内を離れ、福岡と佐賀の県境の石釜という地名の山の奥に移り住みました。
ポツンと一軒家・・・とまではいきませんが、少々不便ですが自然あふれる静かな良い所です。
そこで私は初めて養蜂家と出会います。
「すいません、それってミツバチですか?」
私の中で養蜂というと大きな土地で沢山の箱を並べ大勢の人達でミツバチの世話をするという
イメージだったのですが、庭先で2,3の箱を置いてなんともラフな格好で蜂を眺めていた家主
という光景が私の眼にはとても新鮮に映りました。
「そうよ~。ミツバチたい」
「ミツバチってこういう庭先でも飼えるんですか?」
「誰でん飼えるよ。興味があるなら、あた(あなた)もしてみらんね?
もし分蜂して捕まえれたら1群群れをあたに分けてやるけん、巣箱だけ準備しといて」
分蜂?巣箱の用意???
もちろん素人の私にはチンプンカンプンです。
ふむふむ、なるほど。ミツバチの群れは大きくなりすぎると新しいグループができて
引っ越しするのか。
木製の巣箱があれば自分もこのおいさんみたいに飼うことができる!
それからちょくちょくミツバチおいさんの元を訪ねるようになりました。
日に日に増していく養蜂への興味、大好きなハチミツが自宅で採れるという夢。
しかし・・・
待てど待てどミツバチは分けてもらえず・・・
「ごめんごめん、分蜂したけど捕まえれんかった。また待っといて」
「これは新しく捕まえたんだけど、元々いた1群逃げてしもうたけん分けれんたい」
そして1年が過ぎ
「すまんねぇ、今年はうちも2群しかないから分けて上げれんとよ。また今度連絡する」
自宅のガレージに置いてある張り切って用意した巣箱はすでにカビが生え始めていました。
もともと生きたミツバチの群れを素人の私が貰えるという考え自体が甘かったのかもしれません。
それだったらどうしてもっと早く他人に期待せずに自分で何とかしてみようと思わなかったのだろう・・・
よし。
買おう。
確か養蜂園で巣箱に入ったミツバチを販売してたはず。
この際だから自然のミツバチに拘らず飼いならされたミツバチでいいではないか。
そしてその子たちを自然で増やしていこう。
注文から1週間後、ついに私のもとに初めてのミツバチが届きました。
楽しみでしょうがない。とりあえず玄関横の柿の木の下に置いてみよう。
あのご主人のようにいつでも様子をうかがえて眺めることもできる。
こんなに簡単に手に入るなんて。
ん?巣箱の作りが違うな・・・まあいいか。
とりあえず設置だ。
予定していた通り柿の木の下に用意した台に巣箱を置きます。
なになに、「巣門を開ける前に中のハチが騒いでいたら霧吹きで水をかけてください」と・・
網越しに騒いでるようには見えないな?
次に網を板で塞いで中を暗くすると。
ビリビリビリ・・・ペタッ(ガムテープの音)
そして入り口のトタンを開ければ完了です、と。
巣門をジーっと見つめてると中からそれはかわいらしいミツバチが出てきました。
(なんてかわいらしいんだ!!)
次から次に美しい黄色のミツバチが出てきます。
(いいぞ!!!きた!!!)
ブーン、ピタッ。
チクッ!!!!
ぎゃぁあああああああああああああああああああああああ
【2話に続きます】
私はミツバチという存在に関心を持った。
まずは自己紹介をさせてください。
私の名前は青柳秀明。今年で70を迎えます。
福岡市でビンテージカーショップを営む元レース屋です。
若い頃は日産の古い車(当時は古くなかったw)B110サニーやB310サニー
で西日本サーキットを始め 筑波サーキット、鈴鹿サーキット、富士スピードウェイ
で開催されていたマイナーツーリングカーレースで活躍させていただいていました。
自慢話になりますが・・かのタイヤメーカーADVANのドライバーに抜擢された時期もあります!
当時、全国で7台しか存在しないADVANサニー(画像左上)のうちの1台がこれです。ヨコハマタイヤより車両やタイヤのフルサポートを受け 、ADVANカラーはメーカー承諾がないとNGな時代でした。
決勝はゼッケン35番の青いサニー(画像右上)を猛追し、ラスト2周の1コーナーで抜いて優勝を飾りました。
当時はレース、レース、レースの日々、人生をかけていました。
仕事も自分たちの営むチューニングショップで毎日油、鉄粉まみれ。
触れる物は無機質な物ばかり、自然とは無縁の日々でした。
そんな私も50歳を過ぎた頃から不思議と”自然の物”が恋しくなり始めているのに気が付きました。
きっと幼い頃、何もない時代でまだアスファルトの道路がない自然が隣にあった生活が
年を重ねて恋しくなったのでしょう。
そのころから住まいも市内を離れ、福岡と佐賀の県境の石釜という地名の山の奥に移り住みました。
ポツンと一軒家・・・とまではいきませんが、少々不便ですが自然あふれる静かな良い所です。
そこで私は初めて養蜂家と出会います。
「すいません、それってミツバチですか?」
私の中で養蜂というと大きな土地で沢山の箱を並べ大勢の人達でミツバチの世話をするという
イメージだったのですが、庭先で2,3の箱を置いてなんともラフな格好で蜂を眺めていた家主
という光景が私の眼にはとても新鮮に映りました。
「そうよ~。ミツバチたい」
「ミツバチってこういう庭先でも飼えるんですか?」
「誰でん飼えるよ。興味があるなら、あた(あなた)もしてみらんね?
もし分蜂して捕まえれたら1群群れをあたに分けてやるけん、巣箱だけ準備しといて」
分蜂?巣箱の用意???
もちろん素人の私にはチンプンカンプンです。
ふむふむ、なるほど。ミツバチの群れは大きくなりすぎると新しいグループができて
引っ越しするのか。
木製の巣箱があれば自分もこのおいさんみたいに飼うことができる!
それからちょくちょくミツバチおいさんの元を訪ねるようになりました。
日に日に増していく養蜂への興味、大好きなハチミツが自宅で採れるという夢。
しかし・・・
待てど待てどミツバチは分けてもらえず・・・
「ごめんごめん、分蜂したけど捕まえれんかった。また待っといて」
「これは新しく捕まえたんだけど、元々いた1群逃げてしもうたけん分けれんたい」
そして1年が過ぎ
「すまんねぇ、今年はうちも2群しかないから分けて上げれんとよ。また今度連絡する」
自宅のガレージに置いてある張り切って用意した巣箱はすでにカビが生え始めていました。
もともと生きたミツバチの群れを素人の私が貰えるという考え自体が甘かったのかもしれません。
それだったらどうしてもっと早く他人に期待せずに自分で何とかしてみようと思わなかったのだろう・・・
よし。
買おう。
確か養蜂園で巣箱に入ったミツバチを販売してたはず。
この際だから自然のミツバチに拘らず飼いならされたミツバチでいいではないか。
そしてその子たちを自然で増やしていこう。
注文から1週間後、ついに私のもとに初めてのミツバチが届きました。
楽しみでしょうがない。とりあえず玄関横の柿の木の下に置いてみよう。
あのご主人のようにいつでも様子をうかがえて眺めることもできる。
こんなに簡単に手に入るなんて。
ん?巣箱の作りが違うな・・・まあいいか。
とりあえず設置だ。
予定していた通り柿の木の下に用意した台に巣箱を置きます。
なになに、「巣門を開ける前に中のハチが騒いでいたら霧吹きで水をかけてください」と・・
網越しに騒いでるようには見えないな?
次に網を板で塞いで中を暗くすると。
ビリビリビリ・・・ペタッ(ガムテープの音)
そして入り口のトタンを開ければ完了です、と。
巣門をジーっと見つめてると中からそれはかわいらしいミツバチが出てきました。
(なんてかわいらしいんだ!!)
次から次に美しい黄色のミツバチが出てきます。
(いいぞ!!!きた!!!)
ブーン、ピタッ。
チクッ!!!!
ぎゃぁあああああああああああああああああああああああ
【2話に続きます】