待望のかわいらしい妖精さんたちが巣箱から次々と出てきた!!
・・・と思った瞬間、いやそう思うよりも早いタイミングで
私の瞼に強烈な痛みが走りました。
ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!
私は瞼を手で押さえ地べたに倒れこみ足をバタつかせました。
V ブッスリ
ぎゃあおらあああああ!!!
今度はさっきの痛みが太ももに!
ここでミツバチに刺された痛みをわかりやすくお伝えしたいと思います。
先の尖った熱々の火鉢の箸で深く刺された痛み
です。
やばい。
パニックと脈打つ心臓の鼓動の中で私は命の危険を感じました。
さらにミツバチたちの羽音が増します。
ブルルルルルルルルルルルルブルルンブルブル
はっきりとは覚えていないのですが、私は近くに止めていた軽トラック
のドアを開け中に避難しました。
アドレナリンがどくどく溢れ荒い息遣いで車内から荒ぶる妖精さんたちを見つめる。
こ、こ、こ、こんな生き物・・・
庭先で飼えるかい!!!!
月日が経ちました。
えっ、ミツバチですか?
もちろん
全部逃げていきましたよ。
1匹も残らずにね(クワッ!
ド素人の私に務まるわけもなく、群れは1月も持たず消滅してしまいました。
そして私のミツバチへの関心も完全に冷めてまた普通の日常に戻ったのです。
私が営むカーショップの週に一度の休みには趣味の薪割りと畑の手入れをして過ごしてます。
と、
いうのもここ早良区石釜の私の住んでいるところは標高が少し高く
冬は積雪や路面凍結が多く、もちろんその分屋敷も寒いわけで・・
薪ストーブを自宅に設置しています。
普通の石油ストーブでは間に合わないので嫌でも薪が必要なわけです。
ミツバチが逃げてその年の暮れ。
例の庭先でミツバチを飼っているおじさんの家の前を通った時のことです。
普段はめったにそのミツバチおじさんの御屋敷がある方向の道は通らないのですが
その先に用があったので久しぶりにその通りに向かいました。
(そういえば、あの時もたまたまこの道を通りかかって庭先でミツバチを眺めながら
佇んでいる家主さんを見かけたんだっけな。まだ元気にされているだろうか?)
御屋敷の前を通ると・・・いた!!
みつばちおじさん(おじいさん)
「こんにちは!ご無沙汰しています」
「おお、君かね。どうしとったね?」
「はい、元気にしてました。あの、僕もミツバチを買うたんですけど
向いてないみたいで巣箱が来たその日に思いっきり刺されて挫折してしまいました。
ははw」
「なーんね、刺されたと?どこば刺されたとね?」
「瞼の上と太ももです。しばらく試合後のボクサーみたいに顔を腫らしてましたよ」
「あらら、そりゃ痛かったど~。ミツバチはどこで買うたとね?」
「〇〇〇〇〇てとこで買いました。インターネットで注文して。少し離れたところで煙幕
も炊いたんですけど全然おとなしくならなかったですね」
「煙幕?なんでそがんと炊いたとね?おるはそがんと1度も使ったことなかばい」
「そうですか?購入したところの注意書きで初めに箱から出すときは煙幕を炊いた方がいいと
書いてあったですし防護服も持ってなかったですからねぇ」
そう私が言うとおじさんの表情が「ん?」と曇りました・
「あんたそれ・・・届いた箱はどがんとだった?もしかしてこんな箱じゃなかね?」
「ええ、そうですよ。それだと思います。」
「ぷっ」
ぶあっはっは!!!ぎゃぷぷぷぷプギャーwww
( ゚д゚)
家主さんの大笑いにポカーンと開いた口がふさがらない私に家主さんが続けて言いました。
「あんたが買うたとはニホンミツバチじゃなか。あんたが買うたとはね・・・
セイヨウミツバチたい!!!」
「セイヨウミツバチ?」
「そうたい。おるがここで飼うとるのはニホンミツバチよ。セイヨウミツバチとは
違う蜂たち。よく見てみてん。少し蜂の体が細かろうが?あんたが買うたミツバチは
もっと体が黄なくて(黄色くて)大柄だったはずばい。
それにね、ニホンミツバチは
めったに刺さん。」
/(^o^)\ナンテコッタイ
私がミツバチと思って飼っていたのはセイヨウミツバチという授粉用に家畜養殖された
外来種ミツバチで、日本に古くから生息する在来種のニホンミツバチとは
似て異なる物だということ!
(おじさん、なんで早く、なんでもっと早く教えてくれなかったんだ!俺の2年間を返してくれ!)
いや、きちんと聞かなかった私も悪い。
調べもせずにミツバチを購入して
おじさんの事を最後まで信じることが出来なかったことの報いか。
(けれどおじさんもミツバチ分けてくれなかったよね!?)
家に戻り庭の片隅に転がっていたセイヨウミツバチの巣箱が目に留まりました。
・・・・・・・・まだ終わってない。
俺はまだ終わっていない。
出会いたい
本当のミツバチ
ニホンミツバチに
★3話に続く